遺言

ちらしのうら

とくべつ

自分が信じられなくなったとき、自分の声に集中できないほど焦っていたりこわいとき、つらかったとき、ただ大丈夫と一言があれば何事もなく済むような、ただその一言だけに救われてしまうような、本当にぎりぎりの淵にいるとき

他人の言葉が、影響力を持つ。他人の存在が、私の未来を左右する、させる、浸潤して、私の意思はないがしろにされる。それがひどく怖い

大丈夫なんてたったその一言で私は救われるのだとしたら、同じようにひとことでしんでしまうことだって、あるかも知れない。それが怖い

 

この手を、どうか、取って欲しい。そして、あなたがいかに優れていて、私がいかに醜く劣っているのかを、私に言い聞かせて欲しいんだ。あなたがしたいようにするために、私なんて微塵も残らないように、綺麗に染めて欲しいんだ。幸も不幸も、あなたが定義した価値を私に教えて、そしてその中で生きている私がいかに幸福で恵まれているのかを、疑う余地のない程にこの身に叩き込んで欲しいんだ

 

そしたら私はしあわせになれる。常識では到底はかれない、誰にも、優劣も、善悪も、解るはずがない、たったひとつの幸福のかたちを以って私を愛して欲しい。