遺言

ちらしのうら

壊れる音を聴け

先生に「友達になりたい人がいるんです」と言った。

「どういうところが好きなの?」

「友達になって、どうしたいの?」

と言われて、困った。

どういう人で、こういうところに惹かれて…とは言えるのに、好きなところと言われると、難しい。その人の持つ雰囲気が好き。その人の言葉に惹かれた。

でも、じゃあ、友達になれたら、私は何をしたいのだろう…

 

初対面の人と話を盛り上げるのは、私、自分で得意だと思っている。何を話せばいいのか、分からない方が私は落ち着く。その方が、どう振る舞えばいいのかが明確に分かる。相手の顔色と、声音から、選ぶ反応。言葉。それが、親しくなればなるほど分からない。何故かといえば、「この状況でどのように行動することがお互いにとって良いのか」が、「この状況で何を感じ、その感情からどう行動したらいいのか」へ変わるからだと思う

感情と言うのは厄介だ。と私は思う。

見捨てないで、嫌わないで、と思ってしまったら最期。私は、何もしない。何もしないで、何かされること、それに対する私の反応が、私には未知すぎて、若しくは相手を傷つけた経験からお互いにとって最悪の結末になることを痛いほど知っているから、離れる事を選ぶ 

それか壊してしまう。私といたらこんな、こんなひどい目にあうんだから、だったら、最小限の傷で、お互いが楽になれたら、それが一番幸せに違いないんだから…

 

ともだちに…なれたら…、はなしを、したい

あの人の傷奥から抉り出した血塗れの言葉を、もっと聞かせて欲しい そして、その言葉を咀嚼し私の脳から吐き出して、原型がわからなくなる程胃酸で溶かした言葉たちを並べて、綺麗なところを言い合って…それで…

 

「ここにその子がいるとします。みっつ、なんでも伝えていいとします。なにをつたえる?」

「好き、と伝えたいです。多分、一番最初に選ぶ言葉としては、ふさわしいものではないのでしょうが」

 

 

おやすみ、みなさま良い夢を。