遺言

ちらしのうら

傷を抱えて生きる

自傷痕って、ケロイドで凸凹してる、線傷のじゃないやつ、した後は皮膚硬いけど、しばらく、数年、数十年経つとふわふわしてきて、私は、その、ケロイドまみれの、ぼこぼこの、ぷよぷよで、ふわふわ、ふかふかの腕が、好きだ。

それに、まだまだ硬い皮膚だって好きだ。

というか、傷痕まみれの腕が、好きだ。

きみの腕が好きだ。

 

世の中から見たら、たしかに、アルバイトの時は、二件ともコンビニだったけど、どちらも色々な理由で長袖がオーケーだったから、幸い言うことバレることもなく事なきを得たが、就職となるとそうも言っていられない、のだと。

だからそういう意味で過去を擁護することはできない、私だって、未来のあたしの面倒や、責任を負ってあげることはできない。

でも、きみが醜いと思っている腕、私は、好きです。その、大好きです。こうして一生懸命生き抜いてできた跡が、好きです。

触ってもいいかな、って思う。撫ぜたい、と思う。もしも、良ければ、だけど

頑張ったね、頑張っているね、生きているね、

きみも、わたしも。

どこかで苦しんでいるきみも、

ここでこうして苦しんでいる私も、

どっちも生きてるね。生きている。

今日を生き延びる。また明日も生き延びる。

そうしていつか、もしも出会えたらすごく素敵だよね。

会えなくても、顔も知らぬ、苦しみが何かも知らないきみの、きみが、こうして腕を切りながらも生きていてくれることが、なぜかたまらなく嬉しくて、そうしてできたその痕が、私は大好きなんです。

 

さあもうすぐ今日が終わる。

きみの、私の、くるしみも今日で終わり。

そうしてまた明日のくるしみが始まる。

でも、でも、生きている。生きている。から、

それだけで十分だ!えらい!

きみも、わたしも、えらい!

そして、そしてさ、いつかきみのその

いっぱいいっぱい傷つけて傷つけて、でこぼこで、もこもこで、ふわふわになった、腕を、撫ぜさせてよ

そして、私の腕も撫ぜて、ほしいな

頑張ったね。頑張ったよ。

頑張って、生きた。

頑張って、生きてる。

頑張って、生きていこ。これからも。