遺言

ちらしのうら

「生まれてきて、よかったですよ。」

絵を描くのが好き。人形を作るのも好き。お人形さんがすき。編み物も好き。縫い物もややこしいけど好き。音楽を聴くのも好き。寝るのも好き。熱いシャワーも、それを浴びながら世界ってなんだろ、私ってなんだろって考えるのも好き。言葉を読むのも好き。書くのも。

 

好きなものを挙げるとキリがない。

人は嫌いだけど世界は好きだ。

世界はいつもきらきらしている。

きらきらした世界をうつくしいと思う私の心が好きだ

何故?だって苦しい時には世界は白くぼやけて見える。それは本当に悲しい。だから、綺麗だと思えることがどれだけどれだけ嬉しいか

好きなものを楽しめるのだっていつもじゃない

好きなのに好きな理由がわからなくなる

あれだけ心に沁みた音楽がただの音に聴こえた時は悲しい

そのうちかなしいも何かわからなくなる

そういう時と比べたら好きなものが好きでいられるって本当に貴いことだと思う

しあわせだ

息を吸う。吐く。当然にしていることのやり方が分からなくなる、とき。当然に出来ていたことが奇跡であることを知る

どういうわけか私が、産まれて生きる権利を得た。理由なんてない、有り触れた運命の奇跡で生まれてきた。そんな奇跡がより集まったこの綺麗な世界で当然の奇跡に埋もれて生きていく

その先に何かが在るなんてことも無く

きっと私だけがこの命を肯定できる

ちっぽけなそれだけの価値しかない私は

誰に期待もされず期待もせず

きままにじゆうにぷかぷかと生きていく

今なら食べて排泄して寝て(?)流されるまま息をするクラゲの気持ちが分かるよ、生まれてきてよかったよね。何も無いけどさ、私たちここに生まれてきて、本当によかったよね。