遺言

ちらしのうら

生きている

健全な「愛」をくれたのは、もう5年以上も前だけど、付き合っていた彼女だった

彼女は私を人として見てくれたし、普通の、友達として、恋人として大切にしてくれた

支配するのでも、依存するのでもなくて、彼女は自分をちゃんと大事にしながら、周りも大事にできる人だったから、私は、だれかを妬んだり恨んだりすることなく、これでいいんだ、と

それでも、私はそんな彼女を傷つけてしまった

支配しないものが、依存しないものが、あの頃は、愛だと思えなかった

傷つけることもない、優しいハグだけじゃ、愛されている、と思えなかった

不安になって、たくさん酷いことを言った

自分は呪われているんだ そう思うとしっくりくる

呪われているから、周りにいる人も不幸にする

 

彼女は最後までただしい愛をくれた

そうじゃなければ、愛、なんてもの、こんなに望んだりしなかったと思う

かえりみることも自分を愛することも、出来ずに、わけがわからぬまま手当たり次第他人を傷つけて、めちゃくちゃになって落ちていったかもしれない

だから彼女は命の恩人、とも言える

彼女が愛し方を教えてくれなければ、こんなに辛くもなかっただろうけど、生きていることさえ、「なかった」かもしれない、から

あの日、初めて愛を失くして、失くしてやっと愛というものを知って、そして、蔑ろにしてきた…そもそも無かった、自分、というものを観た

そこから私が生まれた