遺言

ちらしのうら

わたしと彼女の隙間を埋める

先日用意をしている時もせんせいに会いたいと思った。あれはわたしだったのに、わたしもそんな風に思うんだな、と、思った。

わたしは、きっとあのひとのことが、いやな筈だ、と思っていたから

今日も時間が空いた、ので、先生のところへ向かった。あれはわたしだったと思う。だからやっぱりわたしはあの人のことが好きなのか。

…今日は、途中、頭が冴えたような気がした。初めての感覚…だと思う。なんだか頭の中がすうっとかるくなって得体の知れぬ希望に満たされた。とにかく不幸や希死念慮とは反対方向にある凪いだ心地だった。

先生に会いに行ったらいらっしゃらなかった。ガラス戸越しに暗い室内を見渡したら、夏に一度夏野菜カレーの話をした女の人がこちらに来て、ドアを開けて、私がこうして先生に会いに来たことを伝えておきます、と、また、心理士さんも見に来てくれたことを教えてくださった。私は気が遠くなってしまった。それは有難いことだと思う。嬉しいとも思った。でもそれ以上に、なんとも言えない気持ちで目眩がした。

心配をかけた、と言えばそうだと思う。

迷惑をかけた、と言えばそう。

でも正直よくわからなかった。

こうして面倒を見てもらうことに対して、とても複雑な気持ちになる。ありがとうございます、ではないところの気持ち。

救われたと言えばそうだろう

でも同時にひどい侮辱を受けた気にもなる

それは変なことなのかも知れない

笑顔で「ありがとうございました」と言えば済んでしまうことなのに、その下でグラグラと渦巻く

目眩が、する。この感情の名前はなんと言うのだろう

 

淡く、けれど強かでけして揺れることのないあの清清しさの正体が、わたしと彼女の距離が縮まっている証拠であればいいのに、と思う。

わからない。でも心理士さんはそれを「生むこと」だと仰った

だからわたしは「消すこと」ではなく新たに生まれ直すこと、と、そう思いたい。