遺言

ちらしのうら

環をめぐる旅

寄せては返す恒久の波

海は物心つく前から近くにあるものだった

そして神さまはこのようなものだと思うほど、つよく、おおきな存在だった

命を育む海。命を奪うことも容易い

神さまって、きっと私が想像するようにやさしいものじゃないんだ。願っても祈っても、救うことなどなくて…、ただ、そこに在るもの、命をくるむもの、でしかない

海で産まれたたくさんのイノチを食べて、幾度もの夏ほんの少しだけ寄り添った。…かえるならそこがいいと思う程、特別な、

海の底は暗く冷たく畏ろしい

だけどそこに還りたい

たくさんの命に育てられた、この命を、捧げた所で神さまはちっとも、歓ぶどころか気に止めやしないし、救いもしない。だけれど命をイノチとして使ってほしい。同じ星に産まれた命に…

なんて馬鹿げた夢物語

 

ペットの命が「虹の橋を渡る」というのは、何かの作中での言葉なのですか?Twitterなどで見かけると不思議に感じてしまって…虹の橋は天には行かない様な気がするから?アーチを描いて地に還るから?あの子も「天国にいった」と思うけど、そこはきっと安息の楽園なんかじゃないでしょう。だって神さまは優しいヒトなんかじゃ無いんだから…あの子の亡骸を食べることはできなかった。嫌だったからじゃ無くて、そういう文化じゃ無いから。だけどこっそり、きみの白い骨を少し食べた。私の身体の一部はきみの身体なんだ…穢い、ヒトのエゴでさ。私は神さまでもなければただの世界を造る一ピースでしかない、そうだよ、だからこの世界へ還りたいと願うし、きみが天国に行ったなんて思いたいんだよ

だけれど世界はきっと繋がっている。きみの骨を見えない地中へ埋めたくはなかったけど、あのまま永遠に暗い筒の中はかわいそうだったから。もう少し一緒にいろいろなものを見て、そして、世界へ還ろう。新たな命に産まれてくる為に